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日本の出版社から名のある校訂者の手によって、たくさんのブルクミュラーが世に送り出されています。 色々な題名が付けられているのが興味深い所ですが、校訂者のイメージがすり込まれているとちょっと困惑してしまいます。 25曲全体の題名を見ると、「素直」「アラベスク」「牧歌」「小さな集い」「無邪気」など風情や情景、感情を表現しているものがほとんどで、特定の人物を示す言葉「子供」とか「人」「男」「女」と言うイメージを断定していないのがこの曲集の特徴なのではないかと推測します。 曲のイメージが題名からすり込まれる一番危険な例は、25番目の「La chevaleresque」でしょう。 小さい時に「貴婦人の乗馬」とすり込まれてしまっていましたから、貴婦人が馬に乗っている絵が頭から離れません。 ある解説にはchevaleresque(騎士道)ではあるが女性名詞でしかも定冠詞《La》が付いているので「貴婦人」だろうと言うのですが、 でも、《La chasse》にも付いていますよね。「狩」なんですけど。。。。。 テンポ表示には、[Allegro marziale]速めの行進曲風ですから、優雅な貴婦人をイメージしてしまうと、別物になってしまう可能性があります。 しかも〈牧歌〉〈小さな集会〉〈優美〉〈せきれい〉〈おしゃべり〉〈タランテラ〉にだって《La》が付いてますよね。 確かに、日本語に翻訳するのは難しいと思いますが、 私としては「おしゃべり」が「おしゃべり娘」や「おしゃべりさん」になって欲しくないんです。 あくまでも人々が”おしゃべりをして楽しんでいる情景”を想像して表現したいから。 「優美」も「優雅な人」じゃなくていい。「優美」な情景が人間とは限らないんだから。 「小さな集い」を「子供の集会」にするのは絶対イヤだ。 それぞれ子供が理解しやすいようにと言う配慮なのでしょうが、子供だってちゃんと雰囲気は感じ取る事が出来ますよ。 そんな事どうでもいいじゃないって言われてしまえばそこまでなんですけどね、 しょうがないんですよ《こだわり隊》に入隊しているもんで。。。。 このテキストへのこだわりはまだまだたくさんあり過ぎて語りつくせません。 とか言いながら、熱い自分に疲れた。。。。。。 |